ビデオゲームにおけるヒップホップカルチャー

ヒップホップとゲームは一見何の関係もないように思えますが、実は任天堂やセガなどの大手メーカーとヒップホップは切っても切り離せないほど強く結びついています。ビデオゲームとヒップホップはうまくマッチし、非日常をうまく再現することに成功しました。多くの有名アーティストも、自信の楽曲にヒップホップを採用しています。

では実際に、ヒップホップが日本のビデオゲームにおいてどのように文化として発達してきたのかを紹介します。

1990年代から2000年代にかけて

この時期には、多くのヒップホップ音楽がゲーム音楽をサンプリングとして使用します。実際に多くのメディアから「ビデオゲームをサンプリングしたヒップホップ音楽」というタイトルで複数のサンプリング楽曲が紹介されており、いかにヒップホップとビデオゲームのつながりが強かったのかがわかります。さらに、音楽メディアのGeniusは任天堂のゲームソフトに限定したサンプリング特集も公開しています。

90年代にサンプリングされた音楽の中でも最も早かったのは、“Golden Axe”(1989)をサンプリングした、Jay-Zの”Money, Cash, Hoes”という楽曲です。その他、”Super Mario World(スーパーマリオワールド)”(1991)と”Street Fighter II(ストリートファイター2)”もサンプリングされたビデオゲームとしては有名です。

ゲームソフト1本に対して複数の楽曲が発表されており、ビデオゲームはいろいろな形でヒップホップ音楽の中で使用されたのです。具体的には、ビデオゲームの中の効果音やキャラクターボイスが音楽の中でパーカッションのように使用されていたのが特徴です。

2010年代以降

2010年代以降は、マリオシリーズのゲームのサンプリングが主流となります。その他、2010年代以降に15曲もの楽曲にサンプリングされている”Chrono Trigger(クロノ・トリガー)”もヒップホップ音楽に影響を与えたビデオゲームとしては知名度が高くなっています。これは、世界的に有名だったアーティスト、Wiz Khalifaが2010年に”Never Been”においてクロノ・トリガーをサンプリングし、ビデオまで制作したことがきっかけだとされています。

また、ビデオゲームは直接楽曲の中でサンプリングはされるだけではなく、ゲームタイトルが楽曲名に含まれているものも登場します。例えば、A$AP ANTが発表した楽曲“Mario Kart(マリオカート)”では、楽曲中にはサンプリングが見られないものの、ジャケットにニンテンドウ64が掲載されていることからビデオゲームを意識していることがわかります。

その他、XXXTENTACIONの”Okage the Shadow King”では、楽曲に“Final Fantasy IX(ファイナルファンタジー9)”をサンプリングしていることに加えて、曲名は2001年にPS2向けに発売された“Okage: Shadow King(ボクと魔王)”に由来しています。

なぜヒップホップはビデオゲームをサンプリングしたのか

なぜ多くのヒップホップ音楽がビデオゲームをサンプリングしたかというと、それは聴衆にとって楽曲を身近なものにするためです。1990年代はビデオゲームは大流行しており、多くの人にとって身近な存在でありました。そのような人気のゲームソフトから音源をサンプリングすることで、それに親しんだ生活を楽曲の中で再現するとともに、より親近感がある楽曲に仕上げることが目的だったのです。

また、アーティストたちは一昔前のビデオゲームを採用することを好んでいました。これは、往年のビデオゲームをサンプリングすることで、幼少期を回想し、過去を懐かしみながらラップを重ねていくことができたからです。代表的な例としてはBig Seanの”Memories”があげられます。この楽曲の中では、1991年に発売された「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のスペシャルステージで流れる楽曲をサンプリングしています。このスペシャルステージとは特別な条件を満たしたプレーヤーのみが到達することができる難易度の高いステージのことで、ここで使用されている音楽はより記憶に強くのここりました。そのため、あえてこの音楽を使用することでゲームに熱中していたころを思い出すようにしたのです。

このようにノスタルジアを目的としてビデオゲームをサンプリングする際には、ビデオゲームの特別なイベントシーンで流れる楽曲がサンプリング元として選ばれる傾向が強くありました。