バーチャルリアリティーが与える音楽業界への影響

バーチャル・リアリティとは、ユーザの五感を含む感覚を刺激することによって、実際には存在しないものを理工学的に作り出す技術のことを指します。日本語では「人工現実感」、「仮想現実」と訳されることが多く、近年エンターテイメントの分野で多く採用されています。例えば、VRヘッドセットを用いた臨場感溢れるビデオゲームが発売されたり、オンラインカジノでディーラーやスロットマシーンを再現したりなど、活躍している分野は多岐にわたります。また、近年ではバーチャルリアリティーが音楽業界を変えつつあります。

バーチャルリアリティーを利用したライブ配信

バーチャルリアリティーの登場で、ライブ映像を生配信することが可能になりました。このバーチャルリアリティーを利用したライブでは、実際にライブ会場に行かなくても、バーチャルリアリティー空間上で実際のライブの臨場感、雰囲気を味わうことができます。海外では「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」や「コールドプレイ」など、日本では松任谷由実や宇多田ヒカルなどのアーティストがバーチャルリアリティーでのライブ配信を行っています。

バーチャルリアリティーを利用すればライブ生配信だけでなく、オリジナルクイズ番組やコンサートのメイキング映像などのコンテンツも同時に楽しむことができます。さらに、実際のライブであればチケットの販売数に限りがありますが、バーチャルリアリティーでは制限がありません。そのため、チケットが購入できなかった場合や、物理的に会場に行くことができない場合などにも、バーチャルリアリティーでのライブ配信は非常に大きなメリットがあるといえます。

ライブへの参加

バーチャルリアリティーで配信したライブをさらに発展させ、アーティストと同じステージに立つことができるアプリも開発されています。このアプリ内では、VRヘッドセットを使用することで、バーチャルリアリティーの世界の中で、自分がパフォーマーになることができるのです。

まだ参加しているアーティストが少ないことからコンテンツが少ないですが、今後需要が増えて行けば、さらにユーザーが増加するでしょう。

バーチャルシンガーの発展

バーチャルシンガーとはYouTubeを中心に活動する架空のシンガーで、パソコンの合成音声を使用しているのが特徴です。

かつてはバーチャルシンガーの初音ミクが有名でしたが、近年登場しているものはさらに技術が発展しており、3DCGで作成したバーチャルキャラクターに人間が声を当て、リアルタイムで人間の動きをリンクする仕組みになっています。

そんな最新のバーチャルシンガーの中でも特に人気を集めているのが、2018年にクラスター株式会社が発表した「YuNi」です。登場してからわずか半年でYouTubeの登録者数は17万人を超えており、アニソン、ボカロ、洋楽など、幅広いジャンルの楽曲をアップしています。また、バーチャルリアリティーを利用した音楽ライブを開催するなど活動の幅を広げています。

音楽スタジオの再現

音楽スタジオを再現することができるアプリ、「SoundStage」というものが近年リリースされました。これはHTTCのバーチャルリアリティー機器であるVIVEに対応したアプリであり、アプリを立ち上げると、目の前にバーチャルの楽器が現れます。つまり、バーチャルリアリティーで作られた音楽スタジオの中に移動したかのような体験をすることができるのです。

VIVEコントローラーを使用すると、キーボードやドラム、スプリッター、オシレーター、スピーカー、メトロノームなどを駆使して楽曲を作成することができます。使い始めのころは不自然さを覚えることもありますが、機器に使い慣れていくことによって、少しずつ感覚的に馴染んでいきます。

さらに、ウェアラブルスピーカーと接続することによって、バンド演奏をしているような体験もできるようになります。この技術を活用すれば、自宅で本格的な音楽制作ができるようになるのです。